アメリカの牛肉 VS オージービーフ

まずは牛タンのことなんだけど

米国では年間推定約3,500万頭が処理され、日本には約3,000万枚のタンが輸出されたという。タンは1頭につき1枚しかないから、9割近くが集約されていたと推定できる。

これはすごい量だな。アメリカ人はタンシチューとか食べないのだろうか。かたまりのタンだけが山積みになっている光景を想像すると、結構シュールかも知れない。

ここまでは余談で、ここからが本題。

北米全体からトラックや貨車で牛をかき集めて一地域に集約し、解体してからもっとも高く売れる地域に、もっとも高く売れる時期を選んで世界中に発送する。この「ロジスティクス」こそ、米国の畜産業の強みだ。・・・・・ブッシュ政権の狙いの根底は、米畜産業のロジスティクスに支えられた競争力を維持することだ。・・・・・BSEの発生以来、牛の産地を特定できるトレーサビリティー(生産履歴の管理)体制の確立は世界的な潮流になった。・・・・・一頭ずつの履歴確認は、「全米から集めて分化し、部位ごとにまとめる」という現行システムの見直しに直結するからだ。

なるほど、アメリカが全頭検査にあれほど抵抗することもうなずける。日本に輸出するために独自に全頭検査しようとした業者に政府がストップを掛けた理由も、システムを守ることにあるわけだ。
一方オーストラリアはというと

「オージービーフ」は、以前は牧草だけで育てた赤身肉が中心だったが、穀物を与えることで霜降り牛肉の生産を増やしている。・・・・・今や対日輸出の約50%が穀物肥育の牛肉となり、シェア拡大の原動力になっている。
さらに、牛の耳に一頭ずつICタグを取り付けデータベース化する作業も進んでいる。・・・・・「安心・安全」情報を共有するだけでなく、枝肉の重量や脂肪比率などの情報が入力され、生産者に返される。この「フィードバック情報」により、工業製品のような品質管理が可能となる。


参考:フォーサイト2006年8月号 38ページ

システムがアメリカとは全く異なっており、オーストラリアのシステムが(日本も同じか)時代の要請に合致しているということか。アメリカもいずれはシステムを変えていかざるを得ないはずだな。