歴史とは何か

歴史とは何か (岩波新書)

歴史とは何か (岩波新書)

訳があまりよくないのか日本語が読みにくく、スッと頭の中に残らなかった。著者の主張は以下の一文に凝縮されていると思う。

  • 「歴史とは何か」という問題に答えようとする時、私たちの答は、意識的にせよ、無意識的にせよ、私たちの時代的な地位を反映し、また、この答は、私たちが自分の生活している社会をどう見るかという更に広範な問題に対する私たちの答の一部分を形作っているのです。

自分は歴史とは事実の積み重ねであり、そこに主観の介在する余地はないと漫然と考えていたが、これは著者とは対立する考え方であり、事実、著者は自分のような考え方を真っ向から否定している。全ての事実を取り上げてことは歴史を語ることはできないのだから、どの事実を採り上げるかを選択する時点ですでに主観が介在しているという。
これは、その通りだと思った。でも、これは根の深い話だ。メディアはさすがに嘘はつかない(ついたことも多々あるが原則として)が、どの事実を採り上げどのようなストーリーに誘導するかを明らかに主観、あるいは意図が介在していることになり、それは当たり前ということになってしまうのか? これには自分としては納得できない。
もちろん、歴史認識とかいって嘘を本当と強弁する某国は問題外だ。